インソールを作るようになった理由。

                     

僕がインソールを作るようになった理由を書きたいと思います。

それはズバリ、父がインソールを作っていたからです。
父は何故インソールを作るようになったのかと言うと、母が身体が弱く困っていたからです。

母は偏頭痛と肩凝りが酷く、朝起きれないことが多かったです。
僕の中学はお弁当持参だったのですが、母は朝起きる事ができないので自分で起きて遅刻ギリギリまで母の様子を伺い、今日も起きれないなと言う時間に母の枕元へ行き、行って来ますと伝えお金を受け取りお昼のお弁当代を受け取り学校へ向かうと言う日が多かったです。

父はそんな母を心配し、色々な情報を集め、車で20分の所にある接骨院に腕の良い先生がいると聞き、母の毎日の送り迎えをはじめました。

毎日通うと、常連さんと顔見知りになり、挨拶を交わすようになりました。
すると当時、身体の事など何もわからない父でも、あの方は身体がこっちに傾いてるな、など観察するようになりました。
そんな日々を繰り返していると、確かにそこの接骨院の先生が診た後の患者さん達は身体が真っ直ぐになっていることに気づきます。
でも待てよ、確かに良くなってるけど、この人明日も会うんだよな、明日はまた元に戻ってるのかな?
そう疑問を抱き、その方がどこまで真っ直ぐの身体のままでいられるのかな?と見ていると、お会計をし靴を下駄箱から取り出し履き、入り口から出て駐車場を歩き道に出る頃には元に戻っていることに気づきました。
と言うことは、履物と歩き方を直さないと、すぐに戻ってしまうし、身体は歪むんだなと言うことに気づきました。

ここから父のインソール作りが独学で始まりました。

当時インソールに関する本や資料は無く、母の身体で実験が始まりました。
今考えると大雑把な物を作っていたんだと思います。
何も知識も資料もなく、想像で作ったのですから無理もありません。

母の身体に合わせて試行錯誤を重ねに重ねました。
ものすごく長い道のりだったと思います。
インソールは身体の土台を矯正する道具ですから、色々な反応が出たと言います。
更に試行錯誤を重ね、今のような形になりました。
と、サラッと書いてしまいましたが、気の遠くなる行程だったと思います。
僕も今だに気づきの日々ですが、これをゼロから始めたのですから、自分の父とは言え本当に頭が下がります。
身体の弱かった母にも感謝なのかもしれません。

そんなこんなで父はインソールを作るようになり、口伝てで評判は広がりインソールを作りたい言う方々が徐々に、本当に徐々に広がって行きました。
その後父はアスリートから作成の依頼を受ける事が増えて行きました。
色々な競技のアスリートの方々が来ました。
中でもスキー選手が多かったです。
スキーというのはバランスのスポーツで、それも氷のような硬いバーンの上で鋭いターンを連続させ、タイムを競うアルペンスキーの選手が多かったです。

小さかった僕は、鍛え上げられたアルペンスキーの選手の大きな、分厚い身体にビックリした事を今でも覚えています。

そんな彼等が繊細なタッチとバランスを求めてスキーブーツのインソールを作り、あの硬いスキーブーツを熱処理し、足と合わせる技術は今の僕の革靴の木型調整に活かされています。
このことはまたいつか詳しくblogに書こうと思いますが、氷のバーンを物凄いスピードで自由自在にターンするには、スキーブーツのセンターと足のセンターが一致していなければいけません。
それはそれは物凄い技術でした。

そんな事を父は僕が中学生の頃から行なっていました。

僕は少しですが、中学生の頃から父の手伝いをしていました。
勿論、何もわかりませんから、切って貼っての子供でもできる手伝いです。
今考えるとこの頃からインソール作りの感覚を染み込ませてくれていたんだと思います。

当時父はよく、お客さんにインソールはオブラート1枚の厚さの違いでガラッと変わってしまいます。と話していました。
それはそのまま僕に染み込みました。
本当にその厚みでバランスは変わります。
身体を良く出来る道具なので、良くないものを作ったらバランスは悪くなります。
そんな緊張感と責任感を抱えながら、毎日皆様のインソールを作らせていただいています。

父はシャイで少し変わっている(インソールを独学で始める時点で相当の変わり者)ので、僕にインソールの事を細かく教えることは殆どありませんでした。
ですが父は一番大事な事を教えてくれていたんだと思います。
それは、目の前のお客さんがどうしたら良くなるかと、お客さんを想う心でした。
今思うと本当にありがたかったですし、感謝しかありません。
当時はなんでこんなに時間をかけるんだろう?何度も同じ説明して、、、などなど当時はそうは思えませんでしたが本当に大切な事を教わった気がします。

そんなこんなで父の手伝いから始まった僕のインソール作りですが、今だに日々気づく事もあり、クオリティも技術も日々上がっている事を自分自身感じています。
僕の持っている技術と知識で、より多くの方々がトラブルを解消して、更に良い人生になるお手伝いができたらと思っています。

                                                     

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